慢性便秘で腸内に溜まる宿便とは？

慢性便秘で腸内に溜まると言われる宿便の正体

宿便とは、よく腸内に残留している便をイメージしている人が多いと思います。

特に、最近ではインターネット通販などで販売されるようになった、自宅でできる腸内洗浄キットなどの商品を販売しているキャッチコピーなどで『腸内には何年も宿便が溜まっている』というような言葉を使い、これらの宿便を排出すると美肌効果やダイエット効果に良いと言われています。

しかし、実際に医師の診察で大腸内を確認すると『腸にこびり付いた便は見たことがない』といった話がありました。

また、宿便についての考え方では、腸内のヒダ（回盲弁）の間に詰まっている便という説もありましたが、これも全くの間違いで、大腸そのものは蠕動（ぜんどう）運動という自身ので常に動いていますので、ヒダの間に便が宿便として、そのまま残留することはありません。

しかも、腸全体も常に動いてるので、宿便が溜まる場所すらないのです。

たとえば、病院での診察や健康診断を受ける時に、医師に聴診器を当てられて音で体内の異常を確認された経験がある方も多いと思います。

これは、不整脈などが無いか心臓の音で確認するのと同じように、おなかに聴診器を当てる時は、大腸が常に動いている状態を示すグル音と呼ばれる音を聴くことで異常がないかを確認しています。

このことから分かるように、大腸も心臓と同じように常に動いている状態なので、大腸内に宿便と呼ばれる物が留まり続けることはできないのです。

そのうえ、腸の壁は肌細胞など他の細胞と同じように、新陳代謝の作用により定期的に作り替えられています。

腸の壁を構成する細胞の新陳代謝の頻度は、数日間で新しい細胞が生まれて、古い細胞ははがれて排便される老廃物と一緒に体外へ排出されています。

要するに宿便とは、単純に慢性便秘で腸内に溜まっている便のことであって、一説のように何年も腸内に残留しているものではないのです。

そのため、便秘に無縁で健康な成人の場合、宿便は溜まりようのないものだと言われています。

慢性便秘などの宿便を解消するには

ただ、内臓疾患で大腸が狭く硬くなってしまっている場合は違います。

食物繊維の摂取が少なく、脂肪やコレステロールを多く摂取してる人などは、宿便が溜まる可能性があります。

たとえば、全体的な食事バランスが肉食になることが多く排便が少ない状態が続くと、腸壁が硬く厚くなることや悪玉菌は肉に含まれるタンパク質をエネルギーとしているので、悪玉菌が宿便から頻繁に腐敗ガスを発生させます。
慢性便秘　宿便便秘原因になりやすい食べ物　慢性便秘で腸内に溜まる腐敗ガス

その後、腸内腔は狭くなり、腸の内圧は上がり、その状態が続いてしまうと、中から外に向かって粘膜が押し出されてしまいます。

また、弛緩（しかん）性便秘になることが多い高齢者の方に見られる症状で、大腸憩室症という状態になると、腸内にポケット状のくぼみが出来てしまい、そこに溜まった排便は宿便とも呼ばれてますが、これは便秘が解消されることに合わせて、ポケット状のくぼみに溜まっていた宿便も排出されることが大半です。
慢性便秘　宿便高齢者の便秘解消と予防

つまり、基本的に内臓疾患などない健康な人は、大腸の性質上のことを考えても、長期間、腸内に溜まっている宿便はありませんが、内臓疾患などで腸の状態が悪い人には、宿便は出来てしまうと言えそうです。